「ハノン」の教科書

「ハノン」の教科書|動画付きWebピアノレッスン〈模範演奏音源付き〉

「ハノン」の教科書

ハノンの教科書

はじめに

ハノンを正しく練習すれば、ピアノ演奏テクニックを効率よく上達させることができます

この「ハノンの教科書」では、ハノンの効果的な練習方法を解説していきます。

♪この記事はこんな人にオススメです♪

  • 指が思うように動かない人
  • ハノンが嫌いな人
  • 綺麗な音を出したい人
  • 独学で頑張っている人
  • ピアノテクニック全般を見直したい人
  • レッスンで生徒にハノンを教えている先生



ハノンの教科書 ー目次ー

【参考楽譜】

音楽之友社“Le Pianiste Virtuose ハノン・ピアノ教本”解説付New Edition

 

全音楽譜出版社“HANON THE VIRTUOSO PIANIST 全訳ハノンピアノ教本”

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#1:ハノンはピアノ上達に効果があるのか?

日本では“ハノン”と呼ばれるこの教本、正確にはハノン先生(Charles Louis Hanon)が作った「60の練習曲によるヴィルトゥオーゾ・ピアニスト」という名がついてます。ハノン先生(Charles-Louis Hanon シャルル=ルイ・アノン)は1819年7月2日にフランスのダンケルク近郊で生まれ、作曲家・ピアノ教師・オルガニストとして活躍し、1900年3月19日同国ブローニュ=シュル=メールで亡くなりました。

France国旗France国旗

 

ハノン先生はフランス人ですので、お名前Hanonをフランス語の音的に“アノン”と書く方が良いでしょうが、ここでは日本で馴染みのある“ハノン”と書いていきます。

「一本一本の指を自由に独立させる」というテーマを掲げているこの「60の練習曲によるヴィルトゥオーゾ・ピアニスト」はとても有名で、出版当時からかなり普及した模様です。

各曲は楽曲ではなくエクササイズであり、様々な基礎的奏法の運動面に特化した内容となっております。

各課題はハノン先生の生きた時代の奏法から導き出されたものですので、古典的な奏法内での基礎トレーニングとなっていますが、ピアノを弾く上で必要となる基本的なテクニック(音階、分散和音、重音)はほとんど網羅してありますので、現代のピアノ奏法にも十分対応できます。

ただし、ハノン先生の出版したままの内容ですと、あまりにも奏法や練習方法のアドバイスが少なく、変な癖がついて汚い音を出すようになりがちなので使用には十分な注意が必要です。

各課題は至極単純なので、良きピアノ奏法の手ほどきがないとどうしてもストイックな練習に陥りがちですが、この【ハノンの教科書】で丁寧に解説していきますのでご安心ください。

ハノンは正しく練習すればピアノを効率よく上達できる、とても効果的な練習曲集なので、月日をかけて一度しっかり向き合ってみると良いでしょう。



#2:そもそもハノンの目的は?

ハノン先生はこの教本の目的を、短期間でピアノ演奏技術の基礎を磨き上げることに定めております。

ハノン先生は「5本の指をみな平均して訓練すれば、ピアノのために書かれた曲は何でも弾くことが可能になるはず」という仮説を立てて、長い年月をかけてこの教本を完成させたそうです。

さらに、その仮説をクリアするためにハノン先生は7つの目標を掲げています。

  1. 指を動きやすくすること
  2. 指をそれぞれ独立させること
  3. 指の力をつけること
  4. つぶをそろえること
  5. 手首を柔らかくすること
  6. よい演奏に必要な特別な練習を全部入れること
  7. 左手が右手と同じように自由になること

確かに、以上7つの目標を達成し、すべての指を自由自在に動かせるようになれれば、ピアノを達者に弾けそうです。

さらに、短期間で目的達成できなら練習も頑張れますが、そんなことは可能なのでしょうか?

ここで、ハノン先生の具体的な目標をさらに詳細に検討してみましょう。

 

1.指を動きやすくすること

言い換えれば「イメージした音をイメージ通りに鳴らせる指の運動をコントロールする能力を会得すること」と言えるでしょう。目標2〜5、7に関連してきそうですね。

2.指をそれぞれ独立させること

1と共通する要素ですが、「指それぞれが互いの動きに可能な限り影響されないようにすること」と言い換えられます。もちろん人体構造上、各指の完全な独立は不可能ですが、訓練を重ねることでかなりの独立した可動能力を会得することは可能です。

3.指の力をつけること

これは少し注意の必要な表現です。「力」と聞いて思い浮かべるのは人それぞれ異なりますので、ここでしっかり整理しておきましょう。難解な説明は省きますが、ピアノ演奏においての「指の力」とは物理学的に言えば「指が鍵盤に伝える運動エネルギー」であり、「ニュートンの運動方程式」で言うところの「F=ma」つまり「運動エネルギー(F)=質量(m)×加速度(a)」です。「F=ma」に当てはめた場合、「指の力」とは、身体の重さ(質量)を鍵盤に伝える指の抗力」と「加速度(a)を生み出す指を動かす筋肉の可動力」と言えるでしょう。簡単に言えば、「握力と瞬発力を磨いてほしい」ということです。

4.つぶをそろえること

いくら握力と瞬発力を鍛えられても、それらのコントロールができなければよい演奏はできません。目標1と重複しますが、「つぶをそろえること」とはすなわち「イメージした音をイメージ通りに鳴らせる指の運動をコントロールする能力を会得すること」と言えるでしょう。いくら粒が揃っても、美しい音楽にはなりませんので、これまた注意が必要です。

5.手首を柔らかくすること

「手首を柔らかくする」とは解剖学的に言えば、「各指に繋がる前腕の各筋肉を必要以上に収縮させ、手首を通過する筋・筋肉を硬直させないこと」となります。すなわち、「指を動かす時、前腕の大きな筋肉ばかりに頼りすぎず、手のひらの中の筋肉(虫様筋)をよく使って演奏することが大切」ということです。

6.よい演奏に必要な特別な練習を全部入れること

#3でより細かく見ていきますが、ハノン先生は教材の中で、様々なテクニックの基礎を区分けして扱っております。ピアノ演奏テクニックを大きく分類すると・音階・分散和音・重音の3つに分けられます。それら3つを因数分解して、実用的な素材を網羅した練習課題としていることが伺えます。

7.左手が右手と同じように自由になること

これは「両手それぞれがイメージした音をイメージした通りに鳴らせる能力を会得すること」と言い換えられます。

 

こうして詳しくみてみると、ある意味、ハノン先生はピアノ奏法の基礎の完成を目指していらっしゃるのがわかります。



#3:ハノンの構成

ハノン先生は曲集を3部構成にしております。ここでは、各部のテーマと特徴を見ていきましょう。

 

【第1部】(1~19番)

テーマ

全ての指の基礎的運動能力の向上

 

特徴

・短い音型の繰り返し

・全ての指を動かす

・手のポジション移動は最小限(ほぼ同一ポジション内に安定)

 

解説

ハノン第1部では、1小節内で全ての指を使う短い音型の反復トレーニングに取り組みます。手のポジション移動は最小限なので、指一本一本の運きに集中できる課題構成となっております。全ての指を満遍なく動かし、独立した指のコントロールを習得します。

 

【第2部】(21~43番)

テーマ

持久力の向上と、全調性での音階&分散和音の習得

 

特徴

・持久力をつけるための練習課題

・トリルの導入

・全調性の音階と分散和音

 

解説

21~31番は第1部に引き続き、1小節内で全ての指を満遍なく動かす音型の反復トレーニングとなっておりますが、各音型が第1部の倍の量となっており、持久力をつける発展編となっております。また、「トリルの導入」が徐々に始まり、合理的な課題構成となっております。

32番から「音階の準備」が始まり、37番までは特に親指の実用的なテクニックの習得に集中した課題が続きます。

38番は音階の予備練習で、39番は全ての調性での音階の習得が課題です。

40番は音階の関連で半音階を扱いますが、オクターブだけではなく、3度や6度や反進行などの左右の手の動きが異なる課題もあります。

41番では全ての調性の主和音の分散和音の練習、42番43番では楽曲内でよく使われる減七と属七の分散和音も扱います。

音階と分散和音はピアノテクニックの大切な基礎です。第2部でしっかりと習得できると、演奏レベルを大きく向上できますので、ハノンは最低でも第2部までは取り組みましょう。

 

【第3部】(44~60番)

テーマ

様々なテクニックの練習

 

特徴

・ピアノを演奏する上で必要となる様々なテクニックに取り組む

・様々なテクニックで必要となる基本的な指使いの習得

・音階&分散和音の発展課題

 

解説

より発展的なテクニックの習得課題が詰め込まれていますが、特に3度や6度の動的な音型での基本的な指使いの習得は大切となります。また、音階・分散和音の発展課題も学ぶ価値あるものです。

トリルやトレモロや連打など、反復運動の要する課題もあり、無駄の無いテクニックの習得が求められております。



#4:ハノンに取り掛かるレベル

ハノンはどのくらいのレベルで取り掛かるのが良いのでしょうか?

ハノン先生は「この教材は初心者(約1年しかピアノを習っていない人)からピアニストまで使える」と言ってます。

確かにハノンはあくまでもエクササイズ的な練習曲集ですので、誰でも練習することはできますが、「ある程度鍵盤に慣れ、音符も読めるレベル」から取り掛かるのをオススメします。

他の有名な教材で言えば、ブルグミュラーを弾いていればハノンに取り掛かって良いです。

ただし、身体が十分に発育していない小さなお子様が取り掛かるのはオススメしません。10歳以上でしたら問題ないです。



#5:ハノンの練習期間

ピアノ音楽作品は膨大な数があり、一生で弾ける曲には限りがあります。

人生で最も価値あるものは「時間」です。

ハノン先生には申し訳ないですが、ハノンに取り組む時間はできれば最小限にしたいものですね。

とは言っても、一度や二度弾くだけでハノンの栄養を吸収できるわけではありません。

特に、ハノンは運動能力面での技術向上をテーマとしていますので、筋肉や神経が育つまでにはある程度の期間が必要です。

私が提案するハノンを練習する期間は、最低3ヶ月〜最長12ヶ月です。

期間を決めて、上手にプランニングすれば、1日僅かな時間(15分ほど)の練習を続けるだけで十分な成果を得ることができます。

また、一度しっかりと勉強しておくと、他の曲の中でつまずいたテクニックの該当箇所をハノンからピックアップして集中練習して思い出すことも可能ですので、まずは期間を決めて、一度しっかりとハノンに向き合うことをオススメします。



#6:ハノンを練習する時の基本

ハノンを練習する時の基本は次の5点です。

  1. 片手ずつの練習が基本
  2. 明るい音色が基本(短調は暗い音が基本)
  3. 基礎的な奏法を徹底する
  4. 曲順を守り全曲練習する必要はない
  5. 完成度は全体的に高める

一つずつ解説していきます。

1:片手ずつの練習が基本

ハノンは練習の音型は基本的に1オクターブ離れた同じ音を同時に弾いていきますので、音型は左右の手で同じ並び方ですが、左右の手の動きは異なります。

音型も単純ですから始めから両手でも取りかかれますが、まずは片手ずつ練習して基本的な奏法を集中して学びましょう。

両手は片手ずつがよくできるようになってから練習しましょう。

2:明るい音色が基本(短調は暗い音が基本)

ピアノは弦楽器や管楽器と違い、非常に簡単に音が出せます。

そのため、音に対するセンスが育たないまま指だけ動かす方が非常に多く、汚い音を弾く方が非常に目立ちます。

ハノンも無機質な音型の練習曲ですので、音の質にこだわらないと、汚い音を出す結果に終わります。

一つ一つの音が「素敵な音色だなぁ」と感じるよう、基本的にはとても明るい音色で練習することが非常に重要です。

3:基礎的な奏法を徹底する

ハノンは音を出すだけでしたら難しくはありません。

しかし、ただ音を出すだけならハノンはやらない方が良いでしょう。

明るい音を鳴らすには、手の動かし方やバランスがとても整っている必要があります。

指の関節がぐらついていたり、腕から鍵盤を押し付けてはいけません。

徹底した基礎的な奏法が必要です。

4:曲順を守り全曲練習する必要はない

ハノン先生は「曲を追って順々に練習すること」を推奨しております。

確かに曲集は徐々にレベルアップしていけるように非常に繊細な工夫を施してありますが、順番を守って練習する必要はありません。

むしろ、自分なりの練習する順番を作るべきです。

【ハノンの教科書】最後の章で、私がオススメする練習プラン(カリキュラム)を提案しますので、ぜひ参考にされてください。

5:完成度は全体的に高める

これはハノンに限らず、物事を学ぶコツでもあります。

日本の一般的な学校教育に染まってしまうとどうしても「端からコツコツ完成させる癖」がつきます。

しかし、これほど効率の悪い学び方はありません。

学習の際、人それぞれボトルネック(特につまずく要素)が発生します。

ボトルネック、つまり一番のつまずきを解消することが、学習の最大の目的です。

ハノンを進めていく中で、たくさんのボトルネックが見つかるはずですが、ボトルネックを解消すること解消した旧ボトルネックに執着しないことを大切にし、全体的なレベルアップに取りくんでください。



#7:ハノンの楽譜はどの出版社のものがオススメ?

ハノンの楽譜は国内外さまざまな出版社より出版されています。

解釈版もいろいろあり、さまざまな練習方法を載せたものもたくさんあります。

日本において昔からの定番は全音楽譜出版社のもの

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ですが、オススメなのは音楽之友社から出されている楽譜です。

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音楽之友社から出版されている「ハノン」は、小鍛冶邦隆先生と中井正子先生のとても良い解説が付いており、さらに、ハノン自身の言葉の翻訳も非常に質が良いです。

譜面の印刷サイズも若干広めで見やすく、小節の配置も最適で、楽譜がとても見やすいです。

これからハノンの楽譜を買われる方は、ぜひ音楽之友社の楽譜を買われると良いでしょう。

ピアノの先生も1冊手元に置いておくと良いです。



#8:各曲のワンポイントアドバイス(模範演奏)

曲の番号をクリックすると、解説ページへ飛びます。(黒字は未完)



#9:ハノンを最速で終わらせるカリキュラム

ハノン全60曲を練習するのは、なかなか大変なことです。

それだけの時間とエネルギーがあるのなら、好きな曲や他の課題曲に取り組みましょう。

また、全曲を弾けるようになるには長い期間を要しますので、ハノンとは気長に付き合っていくと良いでしょう。

ここでは、初めてハノンに取り組む方が最低限やっておくべき曲をピックアップしてみます。

ピックアップした曲順で練習することをオススメします。

#10:演奏動画

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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