【狩(かり)】「ブルグミュラー」の教科書|動画付きピアノレッスン
<レッスンの構成>
・この曲を学んで得られる効果
・演奏動画
・曲についての解説と演奏の手引き
・この曲で習得したい課題と練習法
この曲を学んで得られる効果
①ホルンの響きの理解
②連打奏法の上達
③アウフタクトの理解
「狩(かり)」を弾く上で必要なのは
1:重音奏法
2:連打奏法
3:アウフタクトの表現
の3つの要素です。
音楽の核となる場面では、左手で重音の高貴なメロディーを奏でていきますが、ホルン5度があり、ホルン的な響きが求められます。
ホルンという楽器は音楽の習慣上、「高貴な表現」を表すことが多いです。
例えば、ラヴェル作曲の「亡き王女の為のパヴァーヌ」の冒頭のメロディーはホルンで演奏されています。
▶︎参考動画(ピアノ演奏)
重音を弾くとき大切なのは、奏法の音質のバランスです。
音質のバランスを変えることで、同じ音の重音から様々な色彩を生み出すことができますので、この曲で色々と試してみましょう。
連打奏法で気をつけたいのは、同じ音だからと全く同じ音質で弾かないことです。
この曲では、連続する2つ目の音(3連符最後の音)を前の音より少しだけ軽くして弾きましょう。
また、冒頭とコーダのアウフタクトをよく感じて弾いてください。
アウフタクトとは冠詞の様なものです。日本語には冠詞は無くて馴染みにくいですが、西洋の多くの言語には冠詞があり、冠詞のあるリズム感がごく自然なものです。
それでは、最初に曲を聴いてみましょう。
演奏動画
曲についての解説と演奏の手引き
「狩(かり)」というタイトルのついた作品。
Allegro vivace・6/8の快活な曲です。
「狩」とは昔の貴族の遊びでした。
今の様にスマホや携帯電話の無い時代です、合図にはホルンなどの楽器が使われました。
(ホルンのベル=ラッパの先が後ろ向きに開いているのは、馬に乗りながら吹いたため・後方に合図を出すためと言われています。)
左手で美しいホルンのメロディーを奏でていきますが、決して指先を固めて演奏しないようにしましょう。特に1の指を自発的に動かし、次の音を弾く準備をしていきます。
また、右手の個性的な伴奏は、1オクターブの跳躍の後に同じ音を2度連打するので、なかなか難しいです。
腕は最低限の移動にとどめ、鍵盤に無駄な運動エネルギーがかからないように気をつけましょう。
そして、注意したいのが冒頭とコーダのアウフタクト。
一番初めの主和音「ドミソ」は6/8拍子の6拍目に置かれています。
それを1拍目の様に感じて弾いてしまうと、この曲の前進感が損なわれてしまうので、しっかりと強拍を目指して前進力ある音色を弾きましょう。
この曲で習得したい課題と練習法
「ブルグミュラー 25の練習曲」で初めて見開き2ページの曲が出てきました。
曲の長さが長くなればなるほど、演奏をまとめるのは難しくなります。
「狩」は序奏とコーダを伴った、ロンド形式です。
音楽には常にストーリーがあります。
印象的なフレーズがたくさん詰まったこの曲、調性の変化、それぞれの楽語、デュナーミクなど、様々な指示の最適解を見つけ、テーマ部分とそこに挟まれる挿話をどの様にして構成していけば良いか、色々と試して弾いてみましょう。
場面ごとに音色を変えていくことがポイントです。
そのためには、想いだけでなく、タッチを変えなくてはなりません。
一つ一つの音色にこだわってみてください。
ブルグミュラーの練習にオススメの楽譜
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