【すなおな心】「ブルグミュラー」の教科書|動画付きピアノレッスン
<レッスンの構成>
・この曲を学んで得られる効果
・演奏動画
・曲についての解説と演奏の手引き
・この曲で習得したい課題と練習法
・動画レッスン無料体験のご案内
この曲を学んで得られる効果
①弾ける曲(レパートリー)が一気に広がる!
②「弾いているのは皆と同じ曲なのに、あなたの演奏はなんだか味わいがあって素敵」と言われるようになる!
③上級者が弾く内容の濃い作品を演奏する手がかりを知るきっかけとなる!
「すなおな心」というタイトルのついた一見簡単そうな練習曲ですが、
1:レガート奏法
2:和声(和音の変化)の理解と表現
3:ポリフォニー奏法(複数の声部を弾き分ける奏法)
という、ピアノを演奏する上で必要となるテクニックと音楽表現が詰め込まれている大切な曲です。
1:レガート奏法
「レガート」とは、音を滑らかに「つなげて演奏すること」であり、ピアノ演奏の最も難しい奏法です。
ピアノという楽器は、弦をハンマーで叩いて音を鳴らす楽器であり、発音方法は「打楽器」と変わりありません。
ピアノも打楽器と同じく、一度音を鳴らしたら、その音はひたすら減衰していくだけで、弦楽器や管楽器や歌のように、音が鳴っている最中に変化(音を大きくしたり小さくしたり音色を変えたりすること)をつけることはできません。
ある意味モザイク画のように一つ一つの塊で滑らかな曲線を「錯覚」させなくてはなりません。
「すなおな心」では、終始徹底した右手のレガート奏法を課題としていますので、しっかりと習得することが大切です。
「レガート奏法」の腕が上がれば、ピアノをまるで弦楽器や管楽器や歌のように歌わせることができるようになり、弾ける曲(レパートリー)が一気に広がりますよ!
2:和声(和音の変化)の理解と表現
和声(和音の変化)は音楽でとても大切なものです。
同じメロディーでも、和声が異なれば曲の意味や雰囲気は一変に変わってしまいます。
和声とは決して目立つものではありませんが、音楽を支配しているといっても過言でないほど、曲の内容を左右する大切な要素です。
また、同じ音からなる和音でもその弾き方が異なれば、やはり曲の雰囲気を変えてしまうものです。
「すなおな心」では、美しい和声の作り方と一つ一つの和音の鳴らし方の練習も終始求めています。
「左手は簡単だから練習する必要ない」などと言わず、どんな風に弾いたらより美しい曲になるか探っていきましょう。
美しい和声が演奏できるようになると、「弾いているのは皆と同じ曲なのに、あなたの演奏はなんだか味わいがあって素敵」と言われるようになります!
3:ポリフォニー奏法(複数の声部を弾き分ける奏法)
音楽は様々なパートが絡み合って出来ています。
その良い例はオーケストラ。
オーケストラはいくつものパートに分かれて一つの音楽を演奏します。
ピアノは「楽器の王様」とも呼ばれますが、一人でオーケストラに匹敵するほどの表現が可能です。
「楽器の王様」と認められるためにも、オーケストラのように沢山のパートを同時に弾かなくてはなりません。
王様だからと「左右2本の手だけで演奏するので、2つのパートしか演奏しない」わけにはいきません。
「すなおな心」では13小節にポリフォニー奏法の予備練習も出てきます。
右手だけで2つのパートを弾き分けなくてはなりません。
「ポリフォニー奏法」は上級者への登竜門ですが、「ポリフォニー奏法」ができるようになると、内容の濃い作品を演奏できるようになります!
以上、3つの重要課題を挙げましたが、まずは演奏動画で確認し、練習法で一緒に学んでいきましょう!
演奏動画
曲についての解説と演奏の手引き
「すなおな心」というタイトルの通り、親しみやすいメロディーとシンプルな和声の変化で出来た可愛らしい曲です。
着飾る必要のない純粋な美しさが魅力的な曲ですが、だからこそちょっとした変化への味付けが大切となってきます。
例えば、右手メロディーの3小節目後半「シドミファ」と4小節目後半「シドレミ」の表情は同じではありません。
もちろん、1小節目の「ソミレド」と2小節目の「ドラソファ」も音型は同じですが、雰囲気=音色は異なります。
同様に5小節目「ソファミレ」と次の6小節目の「ファミレド」も音色に繊細な変化が求められます。
こうした音楽的な意味を持つ変化を「すなおに」弾けるようになることはとても大切です。
ただメロディーを滑らかに弾くだけではなく、「音楽表現」を求め、音色の変化に富んだ「レガート」を弾くこと、和音の色とりどりな響きを作り出すことをブルグミュラー先生は求めております。
「練習曲」というと、どうしても指を一生懸命動かすことに意識が言ってしまいますが、ブルグミュラー先生は「常に音楽を第一優先」に、本物のテクニックを磨ける「練習曲」=「エチュード」を作ってくださいました!
「すなおな心」というタイトルには、「この曲を学ぶ方に、音楽の自然な流れをすなおな心で味わって欲しい」というブルグミュラー先生のメッセージももしかしたら込められているのかもしれません。
この曲で習得したい課題と練習方法
この曲で習得したいのは、第一に先ほどお話しした音楽の表情をつけるための美しいレガートが挙げられます。
滑らかで美しい音の流れを生み出すタッチはどのようなものか探しましょう。
ピアノ演奏は鍵盤を「下げる」=「弦をハンマーで打ち鳴らす」ことばかりに意識が向きがちですが、鍵盤を「上げる」=「弦の振動をダンパーで止める」ことを意識するのも重要です。
レガート奏法では、音を滑らかに重ねていくことが大切ですが、そのためには
A:「音色の統一」
B:「弦の振動をゆっくり止める」つまり「鍵盤からゆっくりと指を上げる」
C:「連なる音を僅かに重ねる」
の3つの要素が求められます。
A:「音色の統一」とは即ち「タッチの統一」です。
「タッチの統一」のポイントは指先だけで鍵盤をコントロールしようとしないことです。
詳しくいうと、手は肩甲骨と鎖骨から始まります。
指先だけで頑張って弾こうとせず、「肩甲骨と鎖骨」から各指が鍵盤を一番弾きやすいポジションへ手を誘導して弾くことが大切です。
指は「閉じる(=掴む・握る・つまむ)」と「開く」という動作しかできません。
「閉じる」・「開く」の動作を一本一本の指でバラバラに行うのがピアノを弾く際の指の動作ですが、手のポジション移動は指にはできません。
手の移動は肩甲骨・鎖骨・腕で行い、指は常に自然な動きができるようにしておきましょう。
B:「鍵盤からゆっくりと指を上げる」と、C:「連なる音を僅かに重ねる」も同様に指だけに頼ることなく、手(指先~肩甲骨と鎖骨)全体の自然な動きを考えて見つけていきます。
基本的に、どこかの関節の動きだけで指を鍵盤から離すのではなく、指・手首・肘・肩の関節の動きのバランスのとれた組み合わせで動きます。
もちろん鍵盤から指を離す際、常に指先の繊細な動きが求められますが、鍵盤から指を離すことだけを意識するのではなく、次の音=鍵盤が弾ける準備を同時に行うことが大切です。
そのためには、手がどのような軌道を描いて行ったら良いかを見つけましょう。手の軌道は無駄な動きを作らないように気をつけましょう。
練習方法は、心地よい響きの音かつゆっくりとした動作を心がけ、ストレスのかからない手の動きを探して行きます。
体のバランスを色々と変え、どんなポジションにいると弾きやすいのか見つけて行きましょう。
次に、音色の変化ある和音の演奏法の習得をしましょう。
和音を弾く際、指先は固めずに、鍵盤を少し「つまむ」感触を意識しましょう。
指先を固めてしまうと、和音構成音のどれもが同じ音色となってしまい、表情の無い演奏となってしまいます。
例えば「ドミソ」という和音でも「ド」が一番強い「ドミソ」と「ソ」が一番強い「ドミソ」では、雰囲気が全く異なります。
試しに「ド」を左手で強く弾き、「ミソ」を右手で弱く弾くのと、「ソ」を右手で強く弾き、「ドミ」を左手で弱く弾いた「ドミソ」の和音を聴き比べて見てください。
和音を構成するそれぞれの音が、どんな音色で響いたら曲の雰囲気をより表現できるか色々試して見ましょう。
練習方法としては、和音の一番下の音だけを強めに弾く、真ん中の音だけを強めに弾く、一番上の音だけを強めに弾くという練習をしてみましょう。
もちろん逆のパターン(弱める)練習も効果的です。
手を固めずに、一本一本の指が「つまむ」という動的な動作をしながら、各指の「つまむ」力をコントロールして鍵盤を下げてください。
この辺りの詳しい話は「ハノン」の教科書に詳しく書いてありますので、そちらもご参考ください。
最後に13小節の音型でポリフォニー奏法の練習をします。
特に伸ばしている音を弾いている指に注意です。
決して鍵盤を力強く押さえつけることはせず、鍵盤が上に戻ってこないかつ手のバランスが安定する程度の力加減で鍵盤に触れておきましょう。
ピアノで「音を伸ばす」ということは「鍵盤を押す」ことではなく、「ダンパーが下がらないように鍵盤を動かさないようにする」ことです。
鍵盤が上に動かなければ良いだけのことであるので、必要な力は極僅かとなります。
また、どこかの指に(筋肉に)力が入ると、他の指が(筋肉が)動かしにくくなります。
なので、極力無駄な力を入れないことが大切です。
(よく「脱力」といいますが、正確には「無駄な力を入れない」ことであり、「完全に力を抜く」ことではありません。「脱力」というとどうしても必要な力まで抜いてしまいますので、私は「脱力」という言葉は使いません。)
練習方法は、5の指で鍵盤を音を鳴らさずに抑え、1,2,3,4の指で様々なタッチで音を鳴らしてみましょう。その時、5の指に変な力が入らないように気をつけましょう。
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「25の練習曲」レッスン一覧